1.害虫とは
5) 害虫の分類と種数
昆虫についてほとんど関心がない方が、どんな種類の昆虫なのかをその特徴から一目見て分かるような分類単位はどこであろうか。昆虫類は、節足動物門に属し、節足動物門は昆虫綱、トビムシの属する側昆虫綱の2つに分けられる。その下の分類単位である「目」で、昆虫類の特徴がかなりよく表される。昆虫類の「目」の名称と、それぞれの「目」の下の分類単位である「科」の名称、およびその「科」に属する代表的な昆虫類(害虫)の種名(和名)を
表5に例示した。
日本農林有害動物・害虫名鑑(2006)では、脊椎動物を除く「害虫」の種数として3,303種が挙げられており、「害虫」の種数を「目」ごとに挙げてみると、昆虫類で種数の多い「目」は、チョウ目で885種、カメムシ目で813種、コウチュウ目で689種、ハエ目で258種、ハチ目で104種となっている。昆虫以外では、ダニ目で172種、センチュウ類の幻器綱ティレンクス目で131種となっている。
主要作物別の害虫数を上記の農林有害動物・昆虫名鑑で見ると(脊椎動物を除く)、イネで202種、ムギで129種、ダイズで299種、サツマイモで88種、ジャガイモで76種、トマトで72種、キャベツなどアブラナ科野菜で126種、キュウリなどのウリ科野菜で101種、イチゴで88種などとなっている。それぞれの作物で非常に多くの害虫の種数が挙げられているが、それら全てが経済的被害を及ぼすものではなく、単に摂食して生育できる寄主植物であるといったものも含まれている。
表6に、それぞれの作物における主な害虫を例示した。もちろん、それら以外の害虫も、条件によって発生してくる場合がある。
次ページ「害虫の形態をインターネット図鑑で確認する」へ
前ページ「害虫の分類学」へ戻る
「害虫防除の常識」の「目次」へ戻る
「ホーム」へ